仮想通貨の価格と価値を考える

 今回からは、いよいよ仮想通貨本体の話に入っていきます。まずは仮想通貨を支える技術から。その技術的な価値がどのようなところにあって、どう人々の生活を豊かにしていく可能性を秘めているのかについて紹介します。全体を通して「価格と価値」について考えていきましょう。
瀧澤 哲郎 2022.06.02
誰でも

目次

1 仮想通貨を支える技術とその課題 

2 仮想通貨の価格と価値 

3 トークンエコノミーとは 

1  仮想通貨を支える技術

 こちらではブロックチェーン技術の概要と課題について触れていきます。この技術は今後、様々な技術と結びつく可能性を秘めているため、この技術の概要について知っておくことはこの先を生きるみなさんにとって、とても大きく可能性を広げるものとなるかもしれません。

【用語解説】 ブロックチェーン技術

 ネットワーク内で発生した各種取引の履歴(ブロック)が、暗号技術によって過去から1本の鎖(チェーン)のようにつながる形で記録のまとまりとして残されていくもの。個々のブロックには、合意された取引の記録を集めたものと、各ブロックを接続させるための情報(1つ前に生成されたハッシュ値と呼ばれる情報など)で構成される。つまり、ブロックチェーンとはこのブロックが複数つながれたもののことを指す。

 もし仮にブロック内の情報を改ざんしようとした場合、変更したブロックから算出されるハッシュ値は以前と変わってしまうことになるため、後につながっているすべての情報を書き換えていく必要が出てくるため、そうした改ざんが事実上困難となる。

【用語解説】 分散型台帳(ぶんさんがただいちょう)

 ブロックチェーンは、ネットワーク内で発生したすべての取引を記録する「台帳」の役割をもっている。そしてそのネットワーク参加者全員が同一の台帳をもつことによって、情報の信ぴょう性を確保している。

 ブロックチェーン化された取引記録は、管理者が存在する通常の集中管理型システムとは違い、複数のシステムがそれぞれ情報を保有し常に同期されていく仕組みで管理されている。よって、一部が停止や故障、何らかの不具合が生じても、システム全体の動きへの影響は極めて限定的に抑えることが可能となる。

                        ※参照 NTT Data 、全国銀行協会のHP

 難しい説明だったかもしれませんが、「皆に公開されており、一度記載した事柄について改ざんすることが不可能である点において、不正を防ぐことが可能となる」という暗号化技術ととらえておけば充分だと思います。

 そして、基礎となるこのブロックチェーン技術にお金のやりとりをデータ化したものがいわゆる仮想通貨(法律上、正式には暗号資産)と呼ばれるものです。よって、ブロックチェーンという取引履歴を管理する暗号化技術の上に不動産取引やゲームでのアセットのやりとりなど、用途はそれぞれある中のひとつが仮想通貨であるといえます。

2 仮想通貨の価格と価値 

 投資に臨もうと考えている皆さんにとって特に必要なことは何でしょうか。私はこれまでの経験から、「価格と価値は必ずしも連動しないということへの理解」なのではないかと考えています。そして、「景気」という言葉からもわかるように、人の気が大きな経済の動きを作り上げます。

 価格は人の気持ちによって上下しやすく、人の行動は、他の人の不安をかきたてるような投稿や、ついつい浮かれてしまうような情報に引きずられやすいものです。よって、ご自身が投資しようと思うものがもつ本質的な価値をなるべく正確に見出し、価格と価値を天秤にかけて判断することができることが重要な視点であるように思います。

 この内容を仮想通貨と関連する技術にあてはめてみるとどうでしょうか。よくビットコインをはじめとする仮想通貨は「価格の変動(ボラティリティと呼びます)が激しく、投資としては危険だし、しょせんギャンブルにすぎない」とよく批判されます。

 そして今まさに、仮想通貨は氷河期を迎えているといわれますが、これは「価格」の話です。つまり、人の気持ちによって、買いたい人よりも売りたい人の方が多いため、価格が下落し、人々が不安に包まれ投げ売りが続いている結果として、全体の価格が下がっている状況といえます。

 では、仮想通貨の「価値」はどんなところにあるのでしょうか。それ自体の価値が損なわれての価格の下落であるならば、容赦なく売り抜けるべきだと、私は思います。仮想通貨の価値は、ブロックチェーン技術の価値は低下した、もしくは今後、低下していくのでしょうか。

 結論から書くと、私は全くそのようには思いません。外部の様々な要因(アメリカ経済の雲行き、世界経済への影響、戦争による物価高と経済への影響などなど)によって思惑が絡み合い、人々の不安が掻き立てられ、売りの方が強くなってしまった結果として起きていることだと認識しています。技術自体の価値は変わらず、素晴らしいものであると思います。

 例えば、仮想通貨の特色のひとつに送金の手軽さが挙げられます。仮に、日本からアフリカ大陸のとある国に住む友人にお金を送ろうとする場合、全国的に有名な大手銀行の送金システムを利用すると、手数料だけで数千円、着金までに数日かかってしまいます。数千円もかかる手数料を負担して送る金額が、50円とか100円であることは考えにくく、少なくとも数千円が送金には数万円からということになり、送金のハードルは高くなっています。

【A銀行HP「外国送金手数料」より 筆者が抜粋】

 さらに注意書きとして、

 外国送金に関しては、上記手数料とは別に、後日、追加送金先銀行等から手数料を請求されたり、海外における経由銀行等(A銀行の海外支店・現地法人を含む)の手数料が送金金額から差し引かれる場合があります。

 ともあります。さらに関連する他の銀行からも手数料として、送金金額から差し引かれて相手方に届くことになり、本当に助けたい相手に届くお金が中間でどんどん抜かれてしまうことになります。しかも、取り扱いの法定通貨は現状10数種類となっていました。

 そこで、暗号資産を活用すると、例え日本からアフリカという果てしない距離であっても、ネット環境とスマホ1台さえあれば、(通貨によりますが)送金手数料が数円~数十円と極めて低価格で済ませることが可能になります。そして何より、ブロックチェーンでの記録により不正が極めて起きにくく、中間で手数料を取られてしまうこともなく、状況によっては数分程度で着金させることがすでに実現しています。手数料が少額であるため、資金を送るハードルは極めて低く、ブロックチェーン上にお金のやりとりが記録されるという技術が広まった結果、少額から、世界中の人を対象に支援をしたり、支援をしてもらったりすることが現実のものとなりました。

 国際紛争等による難民支援などでは、世界中からの支援を募ることが可能になります。国内でも、NPO法人「兵庫子ども支援団体」が、仮想通貨での寄付を募っています。

 短期の儲けたとか損をしたとかいう程度の話ではなく、人々の生活を豊かにし、世界規模での助け合いが技術のうえでは可能になったということです。マネーロンダリング(資金洗浄)の問題やハッキング、マイニングによる自然環境への負荷、量子コンピュータへの対応など、課題が多くあることも事実です。興味があればこちらは調べてみてください。リスクとして次回以降、どこかでまとめてもいいかなあ、とも思いますが、弱点もあることは早めに知っておいて損はありません。

 ということで、この技術はもしかすると、あたたかな支援の輪が生まれ、世界規模での助け合いを支える仕組みなのかもしれないということです。

3 トークンエコノミーとは 

【用語解説】 トークン

 既存の暗号資産(仮想通貨)プラットフォーム(ビットコインやイーサリアム、ネムなど)のシステムを間借りする形で存在する通貨で、独自のブロックチェーンを持たない通貨です。 例えるならば、企業が独自に発行しているポイントに近いものとなります。
DMMビットコインHPより引用

 やりとりをするためのブロックチェーンの仕組みは借りて、そこに独自の通貨を発行して流通させることで、独自の経済圏(モノやサービスと独自通貨を通したやりとりが発生)を構築することができることになりました。

【用語解説】 トークンエコノミー

 トークンエコノミーのトークンは「代替通貨」エコノミーは「経済圏」を指し、合わせると「代替通貨経済圏」という意味になります。言葉だけ見ると、なんだかややこしそうに感じるかもしれませんが、それほど難しい概念ではありません。
 代替通貨とは、円やドルといったお金と同じように使える「通貨の代わりになるもの」です。たとえば商店街で使える商品券や、貯めるとサービスが受けられるポイントカードのポイント、オンラインゲーム内でユーザーが買い物に使うゲーム内通貨など、すでに多くの場所で代替通貨が利用されています。
 1種類の代替通貨が多くの人によって使われると、そこには経済圏ができあがります。代替通貨によって生まれる経済圏――それがトークンエコノミーなのです。
PAYCIERGE 決済の基本~ビジネス展開のお役立ちサイト~より引用

 このように、自分が関わる集団の中で経済圏を生み出すためにトークンを発行することが可能となるのです。これは、人生の自由度が増すと思いませんか?ご自身のコミュニティをより活性化させるためのアイデアとのひとつとして、チャレンジしてみてはいかがでしょう?

 そして、今後は以下のような展開になるのではないかと指摘されているので紹介しておきましょう。 

 現在、購入や売却に手間のかかるものって、実はたくさんありますよね。例えば車やマンション、土地などの不動産。この実物の権利に関するデータも、情報です。情報がブロックに記録されてチェーンでつながれば、やり取りしても改ざんできないことはすでに学んだ通りです。

 とすると何が起こるでしょうか。株取引やFXなどで投資の経験がある方はもうお気づきかもしれませんが、実物の資産がトークン化してしまうのです。よって、これまで仲介業者が入って事前に煩雑な手続きを踏んだり、契約のため日時を合わせたり、押印したり…とかなり手間のかかる購入や売却の手続きが変わるかもしれません。

 ほんの数分だけ、海外の不動産を保有して値上がりした数時間後に売却してしまうなんていうことが可能になってしまうかもしれません。様々なものが取引対象となってトークン化することによって迅速かつ不正の起こらない取引が可能になっていくと、いよいよ投資の観点でものを眺める力の有無が、その人の経済力に大きな影響を及ぼしてしまいそうな気がしてきます。

 こうして、経済活動がスムースに進んでいく社会がきたら、私はワクワクしてきます。そして、あたたかな支援がある世界を望んでいます。辛く苦しい状況にある人に、支援がダイレクトに届いてほしいです。先日、岸田トークンというものをネット記事で知りました。日本政府が本腰を入れて仮想通貨へのアクセスのしやすさ、税制改革なども進み、人々が触りやすい環境の実現に向けて動き出してくれたら、きっと救われる人はたくさんいるはずです。

 「価格」は移ろいやすい人の気持ちに大きく左右される。けれど、本当の「価値」を丁寧に見つけ出そうとする姿勢をもつことが大切!というお話でした。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 私は、このように仮想通貨に限らずお金に関する知識や経験は、なるべく早期に子どもたちに伝えて実践したり考えたりする機会をもつことが、極めて重要であると考えています。

 もちろんお金だけではなく、テストの得点などではとらえにくいけれど生きていくうえで重要とされる能力(=非認知能力)の向上という目標のもと、オンラインでの学びを実現するべくSupportiaという学習の場を共同で立ち上げました。お金に関する授業は私自身が行います。中学校国語・数学・英語を軸に、道徳や倫理の視点での対話、ビジネスや教養、デジタルアート、マインクラフト教室なども独自サーバーで校舎を用意しています。

 中学生の段階から、少しずつでもお金に関する知識を増やして、貧困の連鎖に対する小さくとも防波堤の一部になりたいと考えています。入会料、授業料とも現在は無料としています。

 また、授業に関する説明会を開催することになりましたので、もし興味のある保護者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ下記QRコードからお申込みください。中学生のお子様のいらっしゃるご友人にもぜひお声がけいただけますと幸いです。説明会会場でお待ちしています。

また、Supportia所属の個性溢れる先生たちがBlogを更新しています。ぜひご覧ください。

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