仮想通貨を始める前に その2
 

前回に引き続き、今回も仮想通貨に入る前の準備と、仮想通貨の入り口の準備について記します。今回は少々、仮想通貨における防御力を高めることに関する内容も含みますので、本題に入っていく準備段階とお考えください。なお、前回までの文章はお読みいただいている前提で進めますので、まだ前回までの内容をお読みでない方は先にそちらをお読みいただくことをお勧めします。
瀧澤 哲郎 2022.05.26
誰でも

目次

1「投資をしない」というリスク

2 日本と日本円の将来を少しだけ考えてみる

3 DYORとNFA

4 投資のいろいろ

5 仮想通貨の入り口

1 「投資をしない」というリスク

 これまで、身内も含めた周囲の人に自分の投資について話すと「怪しい」、「いつまで続くのかわからない」、「危険だ」とあたたかいご助言をいただき続けてきました。それが続いても、自分の考えは変わらず、投資は継続しました。そして月日が流れた今、私はシンガポールで生活をすることになり、この文章を書いています。

 決して自慢をしたいわけではありません。周囲に流されて、自分の考えを曲げて損失を出しているときに「もうやめておいたら?」と言われても、「自分の行動は間違っていない」と過去の自分の行動を是とすることができるような判断をしなければならない、ということをお伝えしたいのです。

 もちろん投資は結果の世界です。結果をみて、「ほらみろ」とせせら笑うことは、誰にでもできます。そして、そんなことを言ってくる大半の人は投資の経験がなく、ただ結果をみて言っているだけのような気がします。そして私はいつもこう思ってきました。「リスクを取らない安全策と思っているあなたの行動こそ、最大のリスクを背負ってしまっていることに気付いているのか?」と。いちいち角が立つようなことは言わずにへらへらとやり過ごしてきましたが、ここには書きます。動かないことのほうが明らかに危険だと、私は思うのです。

 なぜ投資をしないことがリスクなのでしょうか。

 多くの人は給与として日本円を、銀行振り込みで得ていると思います。そして、必要ならお金を下ろすなり電子マネーとして振り込んだりクレジットカードで買い物をして、その口座から引き落とされたりする生活。目の前の1万円はいつまでも1万円として使用することができます。それ自体の価値が増えたり減ったりしていることを実感することはありません。

 しかし、実際には1万円でできることの変遷を調べると、できることや得られるものはどんどん少なくなっています。円の価値が下落しているからです。現在、円安が進行しているわけですが、円安とはつまり「円の価値が相対的に下がってしまい、交換の際にはより多くの円を支払わなければ、他の通貨と交換してもらえない」ということです。物価の上昇についてもそうです。世界で起こる様々な要因で、原材料費や燃料費などが得にくくなると、世に出回る量が減少します。減少すると、モノの量とお金の量とのバランスは崩れてしまいます。そこで、お金をたくさん払わないとモノが得られなくなるという、インフレーション(物価の上昇)の状況に突入します。

2 日本と日本円の将来を少しだけ考えてみる

 今って、両方起きてますよね。ダブルパンチです。対外的に円の価値は下がっている。そして物価は上昇している。一時は、戦争に関連してロシアのルーブルが大幅に下落しましたが、それを追うかのような下落を見せていたのが日本円です。

 さて、何が言いたいのか。

 「なぜ、投資をしないあなたは、そんな日本や日本経済に一点張りができる自信や度胸があるの?」

   将来のことはもちろんわかりません。でも、人口の統計から国の発展を考えるならば、日本の少子化はいまだ改善の兆しはみられず、このままいくと2048年には1億人を割ってしまう予想がされています。世界史上、人口が減って発展した国はないといわれていますが、そうだとするならば日本経済の今後の大きな伸びは考えにくいと私は考えています。

 日本円の価値は今後どうなっていくでしょうか。

 日本企業の完全復活、株価の上昇は起こるでしょうか。

 世界中の優秀なイノベーターたちが、こぞって日本を選び、日本で起業したいと思うでしょうか。

 …現状、私は残念ながら、これらの問いにはすべて否定的です。

 だからです。だから、日本以外の国の経済や他国の企業の業績に連動した金融商品を買うのです。外貨預金をしておくのです。株式にしておいて、この先の値上がりや配当、優待券として新たな価値を得るのです。自分のために。そして周囲の人のために。

 冒頭に紹介した、私に「危険だ」と忠告してくれた人、つまり「投資をしない」という人も、結果として「日本の全額一点買い」という投資家なのです。ギャンブラーです。

 あくまでも私の考えなので、気分を害された方がいたらごめんなさい。でも、数ある中から私の記事を選んで読んでくださっている皆さんには、そのようなギャンブル状態からは脱出するための動きをしてほしいです。

 そしてお金を得たら、ぜひ周囲の人を助けてあげてください。私は教師として最後にお世話になった学校のことが大好きでした。そして、私の教師を辞めるという決断をあたたかく応援してくださる仲間の教員がたくさんいました。ただの同僚ではなく、心から「仲間」だと思える存在です。そして当時、校内に動画編集に耐えうるスペックを備えたPCがないということを聞いていたので、私はMacbookを寄付してから、シンガポールに渡りました。自分で書くのは少々いやらしいかとも思いましたが、自分が勉強して投資にも全力で取り組んだ結果として得たお金を、自分が心から応援したいと思う存在に対して、自分の意志で支援ができるのは素晴らしいことだと思います。

 話がそれましたが、結局、皆それぞれ投資家なのだという自覚をもっておいて損はない、ということをお伝えすることがここで最も重要なことです。

3 DYORとNFA

 上記の2つの言葉は、投資の世界の基本中の基本です。間違っても、これに反することは避けてください。下手をすると人間関係を破壊し、修復不能に陥ります。

(1)DYORとは   

    Do Your Own Research の略。自分で調べて確認を取ってから行動してね、ということ。自分以外の人の発信を100%信じて、自分で判断することを怠っておきながら、結果がダメだったときに相手を責め立てる資格などない、ということです。

 とにかくこの世界は「自己責任」の世界です」。どんなに親しい友人であっても、お金が絡んだトラブルによる溝はより深くなると思います。DYOR、ぜひ覚えておいてください。

(2)NFAとは

  Not Financial Advice の略。投資やらお金やらに関するアドバイスではないよ。あくまでも独り言として発信しているだけだから、くれぐれもそのまま信じて行動を起こすなんていうことはしないでね。責任はとれませんよ!という注意喚起のこと。

 この2つの単語は、この記事を読んでもらう場合でもほかの投資関係の発信をされている方の考えに触れる場合でも全く同じです。充分に気を付けてください。私自身も、この記事には自分の考えを書いていきますが、くれぐれも過信はしないでください。ご自身でしっかりと確認を取って、自ら判断するべきものということは念頭に置いて、投資に接してほしいと思います。

4 投資のいろいろ

 一口に投資といっても、それはそれは多種多様です。リスクも様々です。ご自身の余剰資金がどの程度あって、目標とするのはどれくらいの金額なのかを考慮して、リスク管理を徹底できるように、投資の種類を知っておきましょう。基本はDYORなので、簡単な紹介だけします。そのうえで、本当に自分には仮想通貨の投資が適しているのか、よく考えたうえで判断されることをお勧めします。

(1)国債や地方債など

 国や地方が資金調達のために発行する債券のこと。利子や返済期間(償還日)、返済さ  れる金額(償還金額)などが決められている。リスクは低いが、リターンも極めて少ない。

(2)iDeCo・NISA

 iDeCoは「個人型確定拠出型年金」と呼ばれ、毎月決まった掛け金を拠出・運用し、原則60歳以降に老齢給付金を受け取れる私的年金制度。NISAは「少額投資非課税制度」と呼ばれ、年間120万円までの投資で得られた利益が最長で5年間非課税で受け取れるもの。また、積み立てNISAは年間投資額が40万円までで、20年間の長期にわたって毎月コツコツと資産形成を目指す人向けのもの。自身のスタイルに合わせて選ぶ必要あり。

(3)外貨預金

 円ではなくドルやユーロなど、外国の通貨に換えて預金。円と同様に金利を得ることができる。利率は通貨によって異なる。どの通貨を選ぶかが鍵。場合によっては大きなリスクも。

(4)投資信託

 資産運用会社の投資のプロにお願いして投資をしてもらうもの。S&P500やNASDAQ連動型など、多くの企業の株式を部分的に、少額からでも保有することが可能。多くの企業の業績が反映される商品だと、相対的に大幅な変動は起きにくくなるのでリスクとしては管理しやすい。

(5)株式投資(日本・海外)

 企業が資金調達のために発行する株式を売買し、その差額を利益として狙うもの。銘柄の選定がカギ。ハイリスクなものも多い。株主優待制度などもあるので、よく調べることが重要。

(6)REIT(不動産投資信託)

 不動産版の投資信託のようなもの。投資家から集めた資金を元手に、ファンドマネージャーが土地や建物を購入。そこから得られる収入や売買で得た収益を、投資した人に返していく仕組み。

(7)FX
 Foreign Exchange の略。外国為替のこと。通貨自体を売買して、その差額の利益を狙うもの。通貨のペアによってリスクが決まる。比較的ハイリスクとされる。私はここから入ってしまい、痛手を被りました(笑)。

(8)仮想通貨

 お読みの皆さんが最も期待している投資。「ハイリスク・ハイリターンの極み」のような扱いを受ける。インターネット上でやりとりされる通貨のこと。発行主体や管理者が存在しないことが特徴。法律上は「仮想通貨」ではなく「暗号資産」が正式名称。高いボラティリティ(=変動のこと)が特徴。

 他にも金とかワインとか時計とか、さまざまな投資があります。自己投資が一番費用対効果が高いともいいます。どこで闘うべきかを決めるのは、あくまでも自分自身です。

5 仮想通貨の入り口

  さて、そろそろ本題に入らないといけません。仮想通貨に置くのは、くれぐれも余剰資金で。最悪の場合、なくなっても大丈夫で、メンタルが崩壊することもないと確信できる金額で始めてください。最悪に備えてから、最高の結果を目指しましょう。まずはとにかく防御が重要です。

 それでは、仮想通貨の取引に入るための最初の1歩、「取得までの流れ」を解説します。

 以下のような流れで取引を開始することができます。

 まずは取引用の口座を開設してください。日本にもいろいろな会社があります。仮想通貨 口座開設と検索すればいくらでも情報が出てきます。私は、ビットフライヤーやコインチェック、GMOなどを利用してきました。それぞれ手数料などに違いがあります。ランキングになって特徴もまとめられていたりしますので、ご自身に合った取引所を開設してみてください。

 もし、すでにお目当てのコインが決まっている場合は、国内口座だけで済むのか海外口座も開設する必要があるのかも含めて検討する必要があります。日本から海外取引所への送金については、規制の議論もあるようなので、報道には充分注意が必要です。

 続いて法定通貨を仮想通貨取引口座に入金します。法定通貨というのは,各国の中央銀行による価値の裏付けがある通貨のことです。日本円(JPY)、アメリカドル(USD)、ユーロ(EUR)などなど。くれぐれもご自身の無理のない金額の範囲内に収めてください。誰も責任は取れません。

 そして、法定通貨の入金額が反映されると取引開始です。もし、国内の取引所に購入を希望する通貨の取り扱いがない場合は海外の取引所の口座開設も必要となります。その場合は、以下のようなルートになります。

 そして、購入後の置き場所も大切です。取引所に置きいておいても最近は大きなニュースも流れてこないので大丈夫なのかもしれませんが、初期に入っていた身としては、肌感覚として取引所を信頼しきって置いたまま、というのは良くないような気がしています。ここでひとつ、用語解説にいきましょう。

【用語解説】 マウントゴックス事件(2014年)

 かつて、世界最大級のビットコイン取り扱い量を誇り、東京に住所を構えていたマウントゴックス社(株式会社MTGOX)が経営破綻に追い込まれた事件。2013年には世界中にあるBTCの約70%以上を取り扱うほどの規模でした。そして2014年、マウントゴックス社にあるサーバーがハッキングの被害に遭い、BTCや会社の預り金が流出するという大事件。そして経営破綻に追い込まれた。

※関連用語 「セルフゴックス」

 仮想通貨を送金するときに、チェーン(利用する送信ルートのようなもの)を自分で間違えてしまったり、復元フレーズを忘れたり紛失したりしてしまい、永久にその資金を取り戻すことができなくなること。マウントゴックス事件後に出てきた言葉。皆さん充分気を付けましょう。

ということで、個人的には取引所に置きっぱなしは、あまりよくない印象があります。ではほかにどんな手段があるのか。どのように保管すべきか。そもそも、仮想通貨の置き場所のことを「ウォレット」と呼びます。そしてこのウォレットには2種類あります。

① ホットウォレット

 オンラインで保管する。ホットストレージとも。セキュリティ次第。ハッキング被害はこちらで起こる。

② コールドウォレット

 オンラインから切り離して保管。コールドストレージとも。オフラインであるため、最もセキュリティレベルは高いといわれている。

そして、①ホットウォレットにも種類があります。以下の3つです。

A ウェブウォレット

 インターネット上で仮想通貨を保管するウォレット。IDやパスワードを使用して、どの端末からでもアクセス可能。

B デスクトップウォレット

 PCにウォレットをダウンロードして保管。

C モバイルウォレット

 スマホにアプリをインストールして保管。手軽な分、要注意。Wi-Fiでの通信は控えた方がよい。

 続いて、②コールドウォレットについてです。以下の2種類があります。

A ペーパーウォレット

 秘密鍵、アドレスを紙で保管します。書くのはなんでもいいですが、オンライン上のメモ機能とかはオンラインに晒してしまうことになるので意味がなくなります。この秘密鍵さえ忘れず保管できれば漏洩の心配なしです。そして、単純にその紙をなくしたら完全にアウトであることも忘れずに。あと、文字は丁寧に書きましょう、読み取れなくても紛失と同様、アウトです(笑)。

B ハードウエアウォレット

 PCなどではなく、接続可能な外部の機器(USBメモリのようなもの)を個人で購入して、通貨のデータをそちらに移して保管する。これも、セキュリティとしてはかなり高いです。が、それ自体を紛失すると完全アウトです。本体費用もかかるので、ここは懐事情と相談です。

 いろいろありますが、メリットもデメリットもあります。ご自身の特性を考慮して、保管の方法と場所には充分注意しましょう。そして、保管に関して最も重要なことを以下に記します。

1 ペーパーウォレットの秘密鍵は絶対に人に渡さないこと。

2 保管場所を知っている人を最少人数に抑えること。(パートナー、配偶者、親、子供などきわめて近しい人のみ)

3 自分の身に何か起きた場合でも、保管場所を知っている人が引き出せるように準備しておくこと。

 人によっては家の柱に秘密鍵を掘って、上から塗装で隠しているという猛者もいるようです。それくらい、気を使って自分の大切な資産を守らなければならない、ということです。

 以上、ずいぶんと長く書いてしまいましたが、仮想通貨に入る前に気を付けておくべきことを防御の観点からお伝えしてきました。とにかく余裕資金のみにしてください。それでは、また次回もお読みいただければ幸いです。お付き合いいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!

 最後までお読みいただきありがとうございました。

 私は、このように仮想通貨に限らずお金に関する知識や経験は、なるべく早期に子どもたちに伝えて実践したり考えたりする機会をもつことが、極めて重要であると考えています。

 もちろんお金だけではなく、テストの得点などではとらえにくいけれど生きていくうえで重要とされる能力(=非認知能力)の向上という目標のもと、オンラインでの学びを実現するべくSupportiaという学習の場を共同で立ち上げました。お金に関する授業は私自身が行います。中学校国語・数学・英語を軸に、道徳や倫理の視点での対話、ビジネスや教養、デジタルアート、マインクラフト教室なども独自サーバーで校舎を用意しています。

 中学生の段階から、少しずつでもお金に関する知識を増やして、貧困の連鎖に対する小さくとも防波堤の一部になりたいと考えています。入会料、授業料とも現在は無料としています。

 また、授業に関する説明会を開催することになりましたので、もし興味のある保護者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ下記QRコードからお申込みください。中学生のお子様のいらっしゃるご友人にもぜひお声がけいただけますと幸いです。説明会会場でお待ちしています。

また、Supportia所属の個性溢れる先生たちがBlogを更新しています。ぜひご覧ください。

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