仮想通貨が開いた世界

今回は、仮想通貨がどのようにその他の様々なやりとりに影響を及ぼしているのかを紹介します。ブロックチェーン上で取引が行われることになり、デジタルでの所有権を証明する技術や、データ上に自身の保有資産を保管することもできるようになりました。そして、その保管先の情報を、取引所と連携させることで個人情報の入力なしに取引が行われることになっていきます。さっそくみていきましょう。
瀧澤 哲郎 2022.06.09
誰でも

目次

  1.1 NFTとは何か

  1.2 NFTの取引所

  1.3 ウォレットとは何か

2 仮想通貨が金融も変えた

  2.1 分散型金融システムDeFi

3 まとめ

1 取引の入り口となった仮想通貨

 前回、ブロックチェーンの仕組みやトークンエコノミーについて書きました。そして、その仕組みを土台としてまた新たな世界が生まれているのでご紹介します。NFTというやつです。これを取引する際に、メインで扱われているもののひとつが、ETH(イーサ)という仮想通貨なのですが、まずは今話題のNFTについてまとめます。

  • 1.1 NFTとは何か

【用語解説】 NFT(エヌエフティー)

 Non‐Fungible Token(非代替性トークン)の頭文字をとった単語。ブロックチェーン技術を利用した、新しい認証方式(デジタルデータ)。コピーが可能なデジタルコンテンツなどに対して、唯一無二の価値を与える技術として注目されている。
森川ミユキ著 『60分でわかる!NFTビジネス超入門』 技術評論社 より抜粋

 さて。またまたよくわからない用語。Fungibleとか知らないし、非代替性とか普段使わないし…。難しい!もう読むのやめる!というのは、機会損失も甚だしいのでぜひ少々我慢して読んでみてください。

 非というのは、「~じゃない」という否定的な感じ。代替というのは、「交換すること」。非代替性というのは、「交換できないものだよ!」と言っています。

 これ、非がつかなかったらどうでしょうか?代替性トークン。つまり「交換できるよ」トークン。Non(非)を取り除いただけです。交換できるということは、「誰が持っていても価値が変わらないもの」ということですよね。

 例えば私が持っている1ビットコインと、あなたが持っている1ビットコイン。これって、お互いが持っているビットコイン自体の価値に違いはあると思いますか?どんな有名人だろうと、私のような一般人だろうと、1ビットコインとしての価値に変わりはありません。だから、交換することは可能です。

 このように、仮想通貨自体は交換可能なものなので、FT( Fungible Token = 代替可能トークン)とされています。

 話を戻しましょう。「非」がつくこの「N」 FTとは、代替不可能つまり「交換できないものだよ」という証明がされたトークンのこと。つまり、それ自体に価値があって唯一無二のものだよ!という証明付きのデジタルデータであるということです。

 このNFT市場には、多くの超有名企業がどんどん参入を決めて動き出しています。一例を挙げると…

NIKE adidas スクウェア・エニックス CAPCOM IBM Samsung …などなど。

 NFTは特別な知識を必要とせず、誰でも作成ができてしまいます。

 小学3年生の「Zombie Zoo Keeper(ゾンビ飼育員)」 君が行った2021年夏休みの自由研究をNFT化して販売したら、なんと380万円で落札されたというニュースは記憶に新しいと思います。

※記事リンク

※OpenSea 出品方法解説リンク

  • 1.2 NFTの取引所

 記事中にも出てきますが、NFTの取引は「マーケットプレイス」と呼ばれる取引所で行われています。ここでは、その中でも特に代表的な「Opensea」についてご紹介します。といっても、すでに分かりやすいサイトが多く出ているのでここではそちらを参照いただければ充分なので以下に紹介します。

※Market α のHPより

OpenSeaの始め方や使い方を徹底解説|NFT取引時のガス代はどれくらい?

 OpenseaでNFTを売ったり買ったりする際に、どのような手続きが必要でしょうか。アカウント開設のための氏名や住所、電話番号、銀行口座番号、クレジットカード番号の登録…驚くべきことに、こういった一切の面倒な個人情報の入力は不要です。唯一必要なものがあります。

 それは、冒頭に書いたデータ上のお財布です。

  • 1.3 ウォレットとは何か

 保有している仮想通貨の保管先を、「ウォレット」と呼びます。英語で財布を意味する「Wallet」そのままです。ウォレットに自分の資産が反映された後、取引に入るまでのスムースさに驚かされることになります。

 まずは、ウォレットの中でも代表的な「メタマスク」というウォレットについて紹介します。

 【用語解説】 メタマスク

 MetaMask(メタマスク)は、イーサリアムブロックチェーンに対応した仮想通貨ウォレットです。仮想通貨の送受信や管理ができるだけでなく、イーサリアム基盤上のNFTの保管にも使用されています。最近では、NFTゲームやDeFiなど、イーサリアム上のサービスが増えており、これらのプラットフォームを利用する際にMetaMaskを接続して使用するため、需要が拡大しています。
「Market α」  HPより

 つまり、これはデジタルデータ上のお財布です。自分が持っている仮想通貨を、このメタマスクというお財布に保管しておいたり、必要なところに仮想通貨を移動させたり外部から受け取ったりすることができるというものです。ブロックチェーンの種類は、イーサリアムだけではなく、BSC(バイナンス・スマートチェーン)やPolygon(ポリゴン)など、複数のチェーンに対応しています。

 そしてこのメタマスクをインストールして自分のウォレットとする際に、秘密鍵と呼ばれる複数の、不規則な英単語が表示されます。これは以前書いたものと同様で、誰にも教えてはいけないものです。その単語の羅列を順番通りに記録し、自分にしかわからないところにきちんと保管してください。

 メタマスクの設定が完了すれば、もうOpenseaというNFT取引所にはメタマスクウォレットを連携させるだけで取引が可能となります。こうして、一切の個人情報を入力することなく、個人情報を渡さずとも取引ができてしまうわけです。

OpenSea Wallet 接続画面

OpenSea Wallet 接続画面

 メタマスクの中には当然、仮想通貨が入っています。そして、Openseaでの出品は、冒頭に記載しましたが、ETHで行われます。価格の表示もドルなどではなく、ETHです。世界共通でETHです。

 つまり、仮想通貨での入出金ができなければ、現状ではその先にあるNFTの購入や売却という取引に参加することができないということです。新時代の取引において仮想通貨に触れることが、取引をする上で必須の前提条件になっているということなのです。

 とはいえ、メタマスクウォレットを用意するという心理的なハードルは、一般の方々が当たり前のように使用するにはまだまだ高い状況にあります。そこでOpenseaは、クレジットカードの登録でもNFTの購入ができるように動き出しています。ただ、これからのWeb3.0的な世界観(Web3.0は次回以降、どこかで触れます!)の中では企業が個人情報を抱えるクレジットカードでの購入というのはあくまでも例外的な措置なのではないか、と個人的には思います。 

 ということで、ウォレットでの仮想通貨管理や、仮想通貨の入出金手続きについて、早めに体験しておくことは現在の取引の最前線を理解する良い機会です。決して投資を促すものではありませんが、未来への理解を深めるものと思って、挑戦してみるのは貴重な機会になると思います。もちろん、DYORでお願いします。

2 仮想通貨が金融も変えた

 仮想通貨が開いた世界のうちのひとつに、「金融」が挙げられます。つまり、お金を融通すること。ごくごく簡単に書けば、お金の貸し借りのことです。このお金の貸し借りにも、ブロックチェーンに乗ったお金である仮想通貨は絶大な威力を発揮します。

 仮想通貨を支えるブロックチェーン技術を思い出してみてください。管理者がいなくて、みんなで監視し合うことによって改ざんが極めて難しくなるというシステムでした。

 このシステムを、お金の貸し借りにも応用したものが、ここで紹介する分散型金融システム「DeFi(ディファイ)」です。

  • 2.1 分散型金融システム DeFi

【用語解説】 DeFi(ディファイ)

 DeFi(ディファイ)とは、Decentralized Financeの頭文字を取って略したもので、一般に”分散金融/分散型金融”などと訳されます。
 いわゆるDeFiに属するサービスは、銀行や証券会社のような役割を果たす個々のプロトコル(コントラクト)群によって構成されます。これまでインターネット上で提供されていた金融サービスと比較して、集権的な管理者が存在せずアクセス元の国家や利用者のバックグラウンドを選ばず誰にでも提供されることから、分散金融(Decentralized Finance)、あるいはOpen Finance (Op-Fi)などと呼ばれています。
ブロックチェーン・暗号資産業界特化の求人メディア withB HPより引用

 大きな出費を要する時、お金の貸し借りの仲介として銀行が存在しています。お金を借りるためには厳密な審査をクリアしなければなりません。貸し手からすると、この人は本当にお金を返してくれるだけの状況にある人物なのかどうかをきちんと判断したいので慎重な審査が行われるのは当然のことです。

 このDeFiにおいては、そういった個人情報提供やら書類や面接等での審査などを行う存在がありません。貸したい人と借りたい人の金額のバランスによって金利が決まるなど、貸し手借り手双方にとっての自由なやり取りを実現させたものといえます(取引所による違いはあります)。

https://twitter.com/defiprime/status/1153350180437016578?s=20より引

https://twitter.com/defiprime/status/1153350180437016578?s=20より引

 DeFiといっても多くの種類があり、特色もそれぞれ異なります。あまり深入りをしすぎるとDeFi専用講座のようになりかねないのでやめておきますが、年利にして50%以上なんていう状況は、この世界ではよくあることとして捉えられています。

 年利50%というのはどういうことか。価格変動を無視して単純化すると、100万円分の仮想通貨を貸し出したら、1年後には150万円になっているということです。「詐欺だ」とか、「すぐに崩壊する」「魔界だ」「ラグられる(=ラグプル=運営に持ち逃げされる)」などと言われながらも、2018年以降、崩壊が起きるどころか機能としてはどんどん充実していっています。

 より詳しく知りたいという方へ、UIが秀逸なPancake Swapの紹介リンクを貼っておきます。

Pancake Swap Top画面 右上のConnect WalletからWalletを接続して取引が可能になる

Pancake Swap Top画面 右上のConnect WalletからWalletを接続して取引が可能になる

 仮想通貨が、金融の壁を壊し、誰でもお金の貸し借りに参加できる状況を生み出しました。とはいえ、DeFiもまだまだ使いにくかったり、価格変動に巻き込まれて金利以上の値下がりで資産全体としては減ってしまうことや、法的な問題など課題は残っています。政府による規制の話もちらほら出てきています。前述の、運営によるラグプル(資金の持ち逃げ)や取引所のハッキング被害などから、マイナスイメージをお持ちの方もいるでしょうし、事実としてまだまだ不安定であることは否めない状況です。

 それでも、仮想通貨の存在が金融の世界においても、新たな選択肢と未来への可能性の扉を開けたことは間違いないと思います。

3 まとめ

(1)仮想通貨でのやり取り(保管や入出金など)ができることが、前提条件になりつつある。

(2)仮想通貨はウォレットで管理し、取引所とつなげることで個人情報入力などの手間なく、簡単にNFT購入などの取引に参加することができる。

(3)金融システムにも仮想通貨の波は押し寄せ、銀行などの仲介者や管理者がいない状況でも金融システムは稼働し、金融に参加するための新たな選択肢のひとつとなった。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 私は、このように仮想通貨に限らずお金に関する知識や経験は、なるべく早期に子どもたちに伝えて実践したり考えたりする機会をもつことが、極めて重要であると考えています。

 もちろんお金だけではなく、テストの得点などではとらえにくいけれど生きていくうえで重要とされる能力(=非認知能力)の向上という目標のもと、オンラインでの学びを実現するべくSupportiaという学習の場を共同で立ち上げました。お金に関する授業は私自身が行います。中学校国語・数学・英語を軸に、道徳や倫理の視点での対話、ビジネスや教養、デジタルアート、マインクラフト教室なども独自サーバーで校舎を用意しています。

 中学生の段階から、少しずつでもお金に関する知識を増やして、貧困の連鎖に対する小さくとも防波堤の一部になりたいと考えています。入会料、授業料とも現在は無料としています。

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また、Supportia所属の個性溢れる先生たちがBlogを更新しています。ぜひご覧ください。

【Supportia HP】

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